2023/03/07 19:21

世界最大の柑橘「晩白柚(ばんぺいゆ)」


みなさん、世界最大の柑橘はご存知ですか?

直径は20~25cm、重量は1.5~2.5kg。数字で見てもいまいち想像しにくいと思いますが、その大きさは人の頭と同じぐらいです。


その柑橘の名は「晩白柚」と書いて「ばんぺいゆ」と読みます。

ばんぺいゆ、可愛い響きですよね。今回は世界最大の柑橘「晩白柚」について紹介していきます!





果実だけじゃない、皮やワタも使えるスーパーフルーツ


晩白柚の凄さは見た目のインパクトだけではないのです!

まず1番に感じるのは上品で爽やかな香りでしょう。そのままでも良い香りがするのですが、皮に切れ込みを入れるとキッチンが晩白柚の香りで包まれます。それはまるで香水のよう。まず、その香りの良さに驚いていただきたいです。


晩白柚の皮は非常に厚く表皮の内側にあるワタは3cmほどあります。

皮はジャムやピールにすると晩白柚の香りと苦味がいいアクセントになり、パンやチーズやヨーグルトなどと相性が良いです。

ワタの部分は砂糖漬けにすることによりお茶請けにもなります。


中の果実を剥くと、なんと一房が手のひら程の大きさになります。

糖度は12度前後で、酸味と甘味のバランスが非常に良いです。サクサクとした食感でみずみずしい為、さっぱりとした味わいを楽しむことが出来ますし、とにかく一房が大きいので一切れでも食べ応えがあります。




また皮は食べる以外にもお風呂に入れて晩白柚風呂として楽しむことが出来ます。

お風呂場が晩白柚の香りで包まれ、ゆったりとリラックス出来ること間違いなしです。

八代にある日奈久温泉には冬の季節になると温泉に晩白柚がプカプカ浮かんでる旅館もあります。


晩白柚の歴史について


名前の由来は、晩(晩生)白(果肉が白っぽい)柚(中国語で丸い柑橘という意味)です。


原産地はマレー半島で1920年(大正9年)に当時、台湾総督府に勤務されていた熊本県八代郡東陽村出身の植物研究家の島田弥市(しまだやいち)さんが、ベトナムの船上で食べた晩白柚があまりにも美味しく感動し、台湾に持ち込まれました。ただ当時は栽培法がわからず、普及には至らなかったようです。


15年後、1935年(昭和10年)に日本へやってきました。


八代地域は肥沃で排水の良い土壌と豊富な水があること、日照時間の長さや八代海の潮風の影響を受けた温暖な地域であることから、晩白柚の生産に適していることがわかり、晩白柚は八代の特産品となったのです。

現在では、熊本県の柑橘奨励品種の一つとして八代地方だけでの育成を奨励している果物になります。


綺麗な晩白柚を作るために


晩白柚の栽培方法はとても難しく、大きくて形のいい綺麗な晩白柚は簡単には作れません。そもそも自分自身では受粉しにくいので、晩白柚以外の柑橘類がないと、実がならないのです。受粉時期が遅いので、他の柑橘類の花粉がない時期に受粉しなければならない為、ひとつひとつ人工授粉させていきます。


こんなに大きい実、どうやって木になるのだろう…?と興味が出ますよね。

晩白柚は大きな花を咲かせた後に、あの大きな実が木に沢山出来るのです。



実が大きいゆえに台風の被害も受けやすいです。なので、日当たりがよくて風をよけられる場所でしか栽培できません。その栽培適地が熊本県八代市だったのです。

(現在は晩白柚農家の高齢化が進み、ただでさえ少ない生産量が今後さらに減っていく可能性があります。)


収穫後は、2週間ほどビニールハウスで追熟させ、色だしと酸味抜きをして、ようやく皆様の元へお届けすることが出来ます。


大切な相手に、そして自分への贈り物として


晩白柚は常温で3ヶ月程保存が出来ます。

12月に収穫が始まるのでお歳暮での贈り物としてピッタリです。

食べごろは1月〜2月末なので八代では12月には玄関に飾り、お正月にみんなで晩白柚を食べる家庭も多いです。


柑橘の中ではもちろん、果物の中でも高級品な晩白柚。


是非大切な人への贈り物として、日頃頑張っている自分へのご褒美として食べてみませんか?